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中戸川 さん(ライター)

令和を生きるパパ・ママへ 「農」×「子育て」という選択肢

令和を生きるパパ・ママへ 「農」×「子育て」という選択肢
読者のみなさんはどのような考えのもと、日々お子さんと向き合っているだろうか。
「人の痛みが分かる人間になって」「友達をたくさんつくってほしい」という普遍性を重視する人がいれば、「プログラミングや英語を学ばせたい」「AIに勝てるスキルを身につけて」というイマドキな方もいるだろう。
価値観が多様な時代だからこそ、シェア畑編集部では「農」を取り入れた子育ての可能性を探ってみたい。農ある暮らしを実践する子育ての現場に足を運ぶと、明るく、しなやかに、ちょっぴり贅沢な、令和時代の新しい生き方を垣間見ることができる。

房総半島の中ほどにある千葉県一宮町。東京五輪のサーフィン会場に選ばれたこの自然豊かな町に、子育て世代のパパ・ママから注目を集める保育園がある。社会福祉法人どろんこ会が運営する一宮どろんこ保育園だ。東京・秋葉原から電車に揺られること1時間半、のどかな田園地帯にある園を訪ねた。



約8000㎡と広大な敷地はまるで公園のようだ。ウッド調の大きな園舎、6mの高々とした築山、木製の手作り感ある遊具・・・。園内の一角にはコメ1俵(お茶碗960杯分)がとれる本格的な田んぼもある。
取材で訪れた日は年に1回の田植えイベント日で、畔には黄色い帽子をかぶった園児たちが勢ぞろいしていた。「一生懸命やればおいしいお米になります。頑張ろう」。指導役である農家のおじさんの声を合図に、我先に田んぼに入っていく園児たち。青い空、風に揺れる木、水面に映る笑顔。さあ、田植えのはじまりだ。

「根っこを持って、ぐぅーと差して」。農家のおじさんの指導のもと、苗を一つかみした園児たちが泥のなかに小さな手を沈めていく。曲がらぬようテープに沿って植える正確さが求められるが、これがなかなか難しい。農家のおじさんの手慣れた動きをじっと観察し、再現しようとする園児の目は真剣そのものだ。



保育園の特徴の1つが、カリキュラムに「農」をふんだんに取り入れている点にある。「4月ピーマン苗植え、5月ヘチマ苗植え、6月ゴーヤ苗植え・・・」。園の玄関に大きく貼りだされている野菜の年間作付計画には文字がびっしり。園内には2か所の野菜の栽培エリアがあるほか、沢庵づくりやトマトジャムづくりといった食育イベントも充実している。「友達と一緒に植物を育て、収穫し、仲良く食べる。職員が一方的に教える教育ではなく、様々な体験を重ねることで成長してほしいと考えています」と園長の村田良子先生は話す。



村田先生が興味深いエピソードを教えてくれた。在園する0~5歳の園児のなかで、とりわけ2歳児がトマトやキュウリなど野菜に強い関心を示すそうだ。筆者にも2歳の息子がいるが、この年の子は日を追うごとに話す言葉数が増え、著しい成長をみせるもの。スポンジのように吸収するこの時期に、得がたい経験ができるここの園児はうらやましい。

高木洋平君(仮名、5)がこの保育園に通いはじめたのは昨春のこと。一家3人で東京都江戸川区から一宮町に引っ越してきた。「自然が多いところで子育てがしたい」という父親の浩輔さん(仮名、42)、母親の弘美さん(仮名、33)の考えのもと、夫婦ともに自由がきく仕事だったこともあり、移住を決めた。大都会から田舎町へ。洋平君にとって、この1年間は驚きと発見の連続だった。

母親の弘美さん(左)は洋平君(右)の成長を実感する日々だ

江戸川区時代の洋平君は「とにかく慎重だった」(弘美さん)。「これやっていい?」「危なくないかな?」と、ことあるごとに母親に尋ねていた。たいがいの野菜は口にはせず、裸足で歩くのを嫌がる潔癖な面もあった。入園当初は友達ができず、よく泣いていた。
「いろいろな人とコミュニケーションがとれる、人間力が高い子になってほしい」。そんな両親の考え方と保育園の環境が洋平君の感性に響いたのだろう。入園から1年超がたち、「おおらかな子になった」と弘美さん。いまでは毎朝、近所の農家のおじいちゃん、おばあちゃんに挨拶して回り、ちゃっかり野菜をもらうたくましさをみせるようになった。





上の写真をみてほしい。冒頭で紹介した田植えイベント後の泥遊びの様子だ。筆者はこの様子を取材して2つの新鮮な驚きがあった。1つは「本気で遊ぶ子どもとは、これほどまでに楽しそうにみえるものなのか」という点。筆者は東京都荒川区在住の2児の父(6歳と2歳の男児)だが、恥ずかしながら、これほどまでに感情豊かに遊ぶ子どもと接したことはなかった。もう1つは「園児と同じ目線に立つ保育士の存在」。園児たちと泥だらけになって遊ぶ女性保育士はまさに体現者といえる。こうした環境が洋平君の人格形成にプラスの効果をもたらしたのはまちがいない。

太平洋に面した一宮町についてもふれておきたい。特筆すべきは移住者が右肩上がりで増えていること。一宮町によると、昨年度の移住者は1464人に達したという。「移住組はサーフィンの愛好者が多く、豊かな自然が人気の理由です」と一宮町企画課の担当者は話す。
デジタル社会の到来で、縛られない働き方が子育て世代の間で広がってきた点も見逃せない。洋平君の母、弘美さんもそんな1人。「商品企画の仕事をしていますが、PC1台で済ますことができるので、時間と場所の自由はききます」(弘美さん)。組織や旧弊にしばられることなく自分の暮らしを積極的にデザインする。そんな令和らしい生き方がここにはある。


次に、都会的な暮らしと「農」をうまくミックスさせている子育て世代の話を紹介したい。

舞台は埼玉県新座市。人口16万人、東京・池袋から電車で20分ほどのベットタウンだ。
その街の中心にあるJR武蔵野線・新座駅から徒歩10分ほどの場所に、若いファミリー層の入居がつづく農園付きコミュニティー住宅がある。さっそく現地を訪ねてみた。



まず目に留まるのが、たくさん植えられている花、草、木の数々。落ち着いた色合いを採用した住宅の外観とあいまって、訪れる人に優しい印象を与える。総面積800坪の敷地の中に、2階建ての戸建て住宅15棟(1戸あたり30数坪)が建っているのだが、家と家の間には垣根がなく、せせこましさを感じさせないのも特徴の1つだ。創業150年近い地元工務店の増木工業が「新農住コミュニティ 野火止台」と名づけ、昨秋から1戸あたり4320万円~4720万円(税込)で売り出している。



コンセプトの真ん中には「農」がある。全戸に小さな家庭菜園があるほか、共用部には全住民が使用できる畑もある。ここの土地を所有していた近所の農家が、アドバイザーとなって野菜の栽培を丁寧に指導してくれるそうだ。ふつうのサラリーマンでも手が届く範囲とはいえ、一般的な建売住宅よりは少々お高いこの住宅。いったいどのような人が住んでいるのだろう。



新座市内の2Kの古い団地に住んでいた大森賢太郎さん(仮名、41)と加奈さん(仮名、39)が家探しを始めたのは4年前のこと。当時は長女の涼香ちゃん(仮名、4)が生まれたばかり。独立した洗面所もなく、狭い台所でなんでもこなさなければならない生活にストレスを感じた。カーテンを開けると、隣家がすぐに目に飛び込んでくるせせこましさにも耐えられなかった。どのような場所でどのような暮らしをしたいのか。とことん夫婦で話し合った。

的を絞らず、幅広く検討した。アクセスがいい東京都練馬区にも足を運んだし、自然あふれる奥多摩にも目を向けた。「都心に近づくにつれ、家と家の境界が近くになり、子育てが窮屈になると思いました。だからといって奥多摩もちょっと違うんですよね。自然は魅力だけど、たまにはスタバに行きたいし、ジュンク堂で本も買いたい。いろいろ見に行きましたが、『何か違うね』と夫婦で言い合っていました」(賢太郎さん)

同世代の人間として、筆者はこの夫婦の”等身大の迷い”に共感を抱くが、読者の皆さんはどう感じるだろう。結局のところ家探しは、人生で何を優先するかという価値観の問題にいきつく。この夫婦が大切にするのは、都会過ぎず、田舎過ぎず、ちょうど”真ん中”という価値観なのだ。増木工業の農園付き住宅はそんな2人にぴったりだった。

畑仕事を楽しむ大森さん一家

涼香ちゃん(左)はみずからすすんで野菜を食べるようになった

畑に水やりをするのは涼香ちゃんの日課となっている。「ダンゴムシだ!」と涼香ちゃんが叫べば、「土に還してあげな」と賢太郎さんがやさしく言葉を返す。筆者が訪れた週末の昼下がり、映画「となりのトトロ」のメイとお父さんのような会話を耳にした。昨年2月には長男の悠馬くん(仮名、1)が誕生。加奈さんも悠馬くんを背負って畑仕事を手伝う。「もともと家探しを始めたときは畑がほしいとは思っていませんでしたが、今では無心になって作業することがあります」(加奈さん)。秋には畑で収穫した野菜を使ったピザづくりを考えているそうだ。

ちなみに、賢太郎さんは個人事業主としてIT分野の仕事で生計を立てている。冒頭の保育園のくだりで取り上げた高木さんと同じような働き方だ。新しいテクノロジーを駆使しつつ、農という古来からの営みにも深い理解を示す。そんな新旧織り交ぜた令和風ライフスタイルが子育て世代の間で広がっている。

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